初めての北アルプス
2001年8月12日〜15日
1日目 上高地バスターミナル〜徳沢〜横尾〜涸沢
2日目 涸沢〜南稜〜北穂高岳
3日目 北穂高岳〜南稜〜涸沢〜横尾〜徳沢
4日目 徳沢〜明神〜河童橋〜上高地バスターミナル
プロローグ
上高地から徳沢までは行ったことがあるが、その先は未知の世界だった。
師匠のK氏は穂高が好きで何度も来ているという。
余裕を持った行程にすれば大丈夫、との言葉に勇気づけられた。
K氏の推薦もあり、北穂高岳に決め、ガイドブックを何度も読み、3泊4日の余裕の行程とした。
一番混む時期なのでせめてもと、月曜日からの行程とするため、前日の夜、新宿発の「さわやか信州号」を予約した。
自宅で夕食を摂り、新宿駅西口を都庁大型バス駐車場に向かう。
途中何人かの登山姿に出会い、時間には少し早い午後10時過ぎ、集合場所についてビックリ!
上高地行きは7台あり、まずは自分が何号車なのか柱に貼ってある名簿から見つけ、受付を済ます。
上高地以外にもいろいろな方面にバスは出ており、地下駐車場は登山姿の人々でごった返していた。
集合時間の午後10時半過ぎ、バスが入り、ザックを預け、指定された席に。
隣の席には若い女性が既に座っていた。
松本にいる父親と上高地で待ち合わせ、槍ヶ岳に登るとのこと。
バスの座席は満席で、エンジンのかかっていない発車までのわずかな時間に車内は蒸し暑くなってきた。
予定通り午後11時出発。
途中2度の休憩をはさみ、午前6時上高地到着の予定だ。
1日目
さすがに狭い座席では熟睡できるわけはなく、 明るくなった窓の外を見ると、 釜トンネルの手前だった。 午前6時上高地バスターミナルに到着。 駐車場には大型バスが何台も止まり、 広場は登山者であふれている。 朝食をおにぎりで済ませ、 長蛇の列のトイレに並ぶ。 残念ながら、霧雨が降っている。 レインウエアーを身にまとい、 まずは明神に向け出発だ。 |
霧雨の梓川 |
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傘を差して歩く人も多い。 明神館の前で小休止の間に 雨はほぼ上がった。 レインウエアーをザックにしまい、 快適に前進する。 |
徳沢園までは以前歩いたことがある。 記憶に残っている道を順調に進む。 雨は完全に上がっており、気持ちが良い。 振り返ると朝もやがぐんぐん上にあがっていく。 前穂の方向を見上げると 上のほうはガスの中だった。 徳沢で休憩していると、 バスで隣だった娘さんが お父さんと休んでいる。 こちらに気がつくと、 庭で取れたトマトを持ってきてくれた。 |
新村橋を過ぎたところからは、初めて歩く道である。 ここまでと同様の平坦な道が続く。 ちょうど1時間で横尾に着いた。 橋と小屋の周辺でたくさんの登山者が休憩している。 ここから、橋を渡って涸沢に進む。 そのまま、槍沢のほうへ進む人たちもたくさんいる。 |
橋を渡り、ささの茂った樹林を抜けると、河原に出た。 ここを過ぎると道はなだらかな登りになった。 標準コースタイムどおり1時間で本谷橋に到着。 時間は11時だ。 大勢の人が河原で昼食をとっている。 これから登る人も、 降りてきて山小屋の弁当を食べている人もいる。 ここでおにぎりの昼食。 デザートにゼリー。 ここまではまだ余裕があった。 |
ここからは急な登りになった。
少し行ったところでパラパラと落ちてくるものが…
レインウエアーを出そうかどうか迷ったが、空が明るいのでしばらくこのまま進むことにする。
幸い、その後は雨にならなかった。
K氏から、本谷橋から先が長いよ。
始めに頑張りすぎるとあとがきつくなるからね。
と、いわれていた通り、案の定ペースダウン。
元気な子供に抜かれたり…
ガイドブックには、前穂・奥穂・北穂が姿を現し、涸沢ヒュッテがモレーンの上に見える。
と、書いてあったが、分かるのは北尾根だけ。
涸沢ヒュッテの吹流しは気が付かなかった。
途中雪渓を渡るときは、こんな時期に雪があるんだ、と素直に驚く。
風が冷たく、気持ちが良かった。
何度かの休憩のあと、雪の流れの後に遭遇。 やがて、分岐点が現れ、 そのまままっすぐに石段を一歩ずつ登っていく。 ぐるっと廻りこんで登りついたところが涸沢ヒュッテだった。 確かにきつかった。 午後1時15分。 本谷橋から2時間だ。 |
テラスからは若干ガスがかかっているが3000mのやまなみが見える。
上高地から見た吊尾根を反対側から見ているんだと思うと、なんともいえない気持ちになった。
目線を下にもってくると正面に涸沢小屋とその間にたくさんのカラフルなテントが見える。
いつまで見ていても飽きない景色を充分に満喫し、
また、あまりの高さに明日本当に登れるのかと不安になったりもしながら、
テラスでコーヒーを入れ、のんびりした時間を過ごした。
自炊をしたかったので、今日は涸沢ヒュッテに素泊まりだ。
アルファ米のチキンピラフとタマゴスープ。
食後にコーヒー。
今考えるとなんとも簡単な夕食だった。
明日、天気が良いことを願って早めに就寝。
2日目
午前4時10分起床。
あたりはまだ暗い。
外にでてみると星と月が出ている。
明るくなってきたところで、朝食。
アルファ米の白飯と、味噌汁、おしんこ。
1人前となっているが白飯は半分残した。
午前5時半。 朝日がさしてきたが辺りは霧の中である。 やがてだんだん霧が晴れ、 周囲の山がはっきり見えるようになってきた。 これから登る北穂高岳もはっきり見える。 このときは気が付かなかったが、 あとで確認すると小屋も見えていた。 |
午前6時20分。
完全に晴れ上がった青空の下、カールの向こう側にある涸沢小屋を目指す。
小屋の前のテラスの脇を通り、これから登る斜面を見上げる。
なんともすごいなぁ…
まずは急斜面のガラ場を登っていく。
しばらくすると、トリカブトの花がいたるところに見えてきた。
思わずカメラを出す。
後ろを振り向くとテントが下に小さく見える。
前穂が青空をバックに目の前にある。
ジグザグを繰り返し、一歩ずつ登っていく。
お花畑を横切ったところで、岩場に出た。
鎖場を通り、鉄梯子に出会う。
ずっと急斜面を登ってきた足にはすぐに取り付くのは無理だ。
一息ついたところで一気に梯子を登りきる。
また、ジグザグの繰り返し。
鎖を過ぎると、幾張かのテントがあった。
ガイドブックにあった南稜テラスだ。
ということは、ここから先は少しは楽ということか。
登りつめたところが奥穂との分岐点だ。
右側に岸壁の下を巻くように進むと、急な登りになった。
最後の力を振り絞って登ると山頂だった。
午前10時。
3時間40分かかった。ちょっと遅いかな?
山頂は残念なことに、
いつのまにかガスの中。
山頂のはじから滝谷を覗き込む。 すごい岩場だ。 |
このあとはテラスに座り、コーヒーを飲んだり、ゆったりとした時間を過ごした。
歓声がわき、下を見ると、小学3年生位の子がお父さんと
大キレットを越えてやってきた。
すごいなぁ!
宿泊の受付を済ませ、
ガイドブックに書いてあった、初代の小屋に使われていた梁のありかを聞いて見に行く。
そこには棟梁の名前がはっきりと書いてあった。
夕方、多少ガスが切れて、槍のてっぺんが少し見えたりもしたが、明日に期待するしかない。
3000mの高さでの食事とは思えない豪華な食事の後は、
1枚の布団に2人の混雑だった。
夜は窓を開けていても人の熱で暑いくらいだった。