北アルプスに魅せられて                                          番外編

楼蘭王国探検記

1995年10月15日(日) 9日目

 

テントを揺るがす強風に目を覚ます。
時計を見ると、まだ14日の午後11時。
シュラフにもぐりこんだときは、満点の星だった。

テントは風に軋み、入り口を開けると砂が舞い込んでくる。
隣のテントからはY女史の悲鳴が聞こえる。
一人で寝ているため、余計にテントが揺れるようだ。
温度計を見ると2℃。
昨日の昼は24℃くらいだったから昼と夜の温度差は20℃以上もある。

初日の経験があるので、I 氏と話し、いつでも脱出できるよう身支度を整える。

午前2時、約3時間続いた嵐が突然ピタリとやんだ。
砂漠の気候は、人間では推し量ることができないようだ。

 

午前6時、起床。
頭上の月には大きな輪がかかっている。
今朝はうす曇りである。

午前7時、スープの朝食を摂り、午前8時半には出発する。
今日はスピードは遅くなるが、ロバからはなれずに進む。
周りは高さ10m以上のヤルダンに囲まれており、足元はさらさらのパウダーサウンドである。

 

足元に見ながら歩くと、いたるところに石器などが見つかる。
砂が風にさらわれ、時間とともに地上に現れてくるようだ。
文物局の役人は同行しながら調査しているのだろう。
ただ、よほどの貴重品でない限り、その場においていく。

石斧、石のナイフ、やじり、本当にたくさんのものを見つけた。

大きな石斧

 

午後0時30分、昼食休憩
 北緯 40°23′49.5″
 東経 89°51′31.8″
楼蘭まで9.5km

昼食はパイナップルの缶詰とクラッカー。

 

1時間の休憩後、午後1時30分、出発。
また、黙々と歩く。

午後3時20分。
小雨が降ってきた。
年間降水量10mmのタクラマカン砂漠でなんとも珍しいことだ。
しかも、先日とあわせて2度も・・・
ガイドに話しても、誰も信用しないと言う。
それほど珍しいことだそうだ。

足元にはこの砂漠で唯一見かけた緑、塩生草が時々現れる。

 

午後4時15分。
ついに楼蘭の仏塔が見えた。(マウスをおいてください。)

 

ここが最期の野営地となる。
 北緯 40°30′06.9″
 東経 89°54′21.9″
楼蘭まで1.6km

小高い丘から仏塔が見え隠れするまわりで、一番高い丘の麓にテントを張る。
仏塔をバックに記念撮影。
(上の写真と同じアングルですが、仏塔は見えませんね。)

 

午後7時30分。
夕食は今日もインスタントラーメン。
しかし、やっと仏塔の見えるところまで来ることができ、明日はいよいよ楼蘭に行けるかと思うと、喜びでいっぱいである。
足には3つもまめができていた。

さぁ、明日はいよいよ楼蘭古城だ。

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